府中家具 の特徴
家具製造は原木の厳選より始まり、木の性質や木目の違いを大切にする。タンスの製造の伝統の中で培われた強度を高めるための技術・蟻組み(ありぐみ)などが特徴的です。
塗装は木目の味わいを深めるために行います。
下準備は特に入念で、木を寝かせる期間は、桐なら3〜5年、ケヤキならば10年以上風雨にさらします。これは製品になった際に反りなどが生じないようにするためです。桐は時間をおくことで、灰汁が抜けます。抜けると一度は真っ黒になります。それを手間ひまかけて洗って表面を削るとよく知られるきり独特の美しい木肌が表に出てきます。この桐は府中家具の特にタンスの内部に使用されます。そうすることで、見た目に加えて、湿気や虫などから衣類を守る機能が高まります。
材料として出来上がった桐は非常に柔らかいので滑らかに仕上げるのは実はとても難しいのです。技術と良く手入れされた道具を駆使して熟練した職人が加工を行います。府中家具にはシンプルなものだけではなく、彫刻を施した装飾も見られ、その技術の高さは一目で分かります。
上記の蟻組みは府中ではさらに角部に「トメ」を付けることで更に強度を高めています。釘を使う際も、引き出しのそこ部分と同程度にすり減るための木やプラスチックの釘も使用するなどの工夫が満載です。そして、引き出しが隙間無く収まるように職人が何度もカンナをかけます。高品質なタンスの引き出しを閉めると、他の段の引き出しが出っ張る現象は、この作業によるところが大きいのです。
それから、最も特徴的な技術として「底板アーチ加工」というものもあります。これは引き出しの底板部を多少反らせることで側面の板に重みを分散することができるようにするための加工です。重いものが入ったときでも、軽く引き出せるようになります。
このような技術をタンスで培った府中家具ですが、素材に対するこだわりと技術の追求はタンス以外の家具にも応用されています。
府中家具の歴史
家具の街 府中において家具作り(タンス作り)がはじまったのは今から290年ほど前で、「宝永年間に備後有麿村の内山円三が大阪で箪笥(タンス)の製法を習得し、帰郷後制作に着手したのが始まり」と記される。
大正初期の逸話

大正4年8月に府中市の府中町及び広谷村でタンス生産の概況が記載。